<コラム>火災保険が再値上げ! その理由と、もう一度知っておきたい加入の必要性
突然ですが、皆様は火災保険、きちんと加入されていますか?
火災や自然災害から、大切な住まいを守るための火災保険ですが、ここ数年、その保険料は値上げの一途を辿っています。
2021年6月時点でも損害保険の価格改定について発表がありました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
保険料増額のニュースで関心を集めている今、このタイミングで改めて火災保険の基礎知識とそのポイントについて、お伝えしていきたいと思います。
この記事の目次
今後保険料は値上げ、契約期間は短縮へ
2021年6月に、保険料の参考純率(損害保険会社各社から成る、損害保険料率算出機構が算出した保険料の目安)が10.9%値上がりしました。
それにより、各保険会社の保険料も2022年10月より値上げする見通しと言われています。
損害保険料率算出機構は16日、火災保険の保険料を決める際の目安となる「参考純率」を全国平均で10.9%引き上げると発表した。上げ幅は過去最大。台風や豪雨といった自然災害の被害が増え、保険金の支払い負担が大きくなっていることを踏まえた。損保各社は2022年度に火災保険料を値上げする見通し。
共同通信「火災保険、10.9%値上げ 災害増加で最大の目安改定(2021年6月16日)」より引用
また、自然災害が頻発し、将来的な保険料の収支予測をつけることが困難となっている背景もあり、参考純率が適用できる期間を最長5年(現行:最長10年)とすると発表しました。
損害保険大手各社が、一般住宅向け火災保険の最長契約期間を現行の10年から5年に短縮する見通しとなったことが23日、分かった。年内に正式決定し、2022年度後半から適用するとみられる。
共同通信「住宅向け火災保険、最長5年に 22年度後半、10年から短縮(2021年3月23日)」より引用
これにより、保険料だけでなく契約期間も短縮。現行の10年契約は廃止となり、契約期間は最長で5年間となる見通しです。
これまでは長期契約することで割安になっていましたが、その廃止によっても加入者の保険料が増額することとなります。
- 近年大きな自然災害が頻発し、保険料の将来的な収支予測が難しくなっている
- 気候変動により今後の見通しがますます立てづらくなっている
- 上の理由から、保険料を決める際の目安となる「参考純率」が引き上げになった
- 同時に参考純率の適用期間が最長10年から5年に短縮された
- 短縮された影響で契約期間も最長5年間、10年契約は廃止になる
火災保険の基礎知識
居住の際の火災保険の加入については任意となっておりますが、家の購入時や賃貸契約時に加入済みの方が多数であると思われます。
しかし、その詳細についてしっかりと熟知している方は意外と少ないのではないでしょうか。
まずは、その補償の範囲(火災の他、どのような災害時に適用されるのか)について解説していきます。
補償範囲〜どんな災害が補償の対象になる?
“火災”保険という名称の通り、火災時に補償がなされるのは当然ですが、その他の自然災害等も、補償の対象になっております。
火災保険の中でも最も基本的な商品となるのが住宅火災保険です。補償対象は下記の通りです。
火災 | 失火・もらい火・放火による火災による損害(※地震・噴火による火災は除く) |
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落雷 | 落雷そのものでの破壊や、落雷による火災などで発生した損害 |
爆発 | ガス漏れ等による破裂・爆発等による損害 |
風災・ひょう災・雪災 | 台風や竜巻等の風、ひょう、雪による損害 |
POINT
火災時の補償について
自宅からの出火の場合はもちろんのこと、近隣からのもらい火による火災の場合にも、補償がされます。
日本では「失火責任法」という法律により、重大な過失(寝たばこ、調理時に長時間その場を離れたことによる出火等)があった場合を除いては、火事を起こしてしまった者に損害賠償の責任を負う必要はないことが定められています。
逆に言えば、「もらい火による火災でも、出火元の家からその損害を賠償してもらえない可能性がある」ということになるので、そういった意味でも火災保険の加入は重要であると言えます。
参考:失火責任法「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス (明治三十二年法律第四十号)」e-Gov法令検索
住宅火災保険の上級商品となるのが、住宅総合保険となります。住宅総合保険では、住宅火災保険での補償に加え、水災や盗難等による損害も補償してくれます。
水災 | 洪水・高潮・豪雨による土砂崩れ等による損害(※津波による損害は除く) |
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飛来・落下・衝突 | 突風等での飛来物や自動車の飛び込み等による損害 |
水濡れ | 給排水管の事故や上階からの水漏れ等による損害 |
騒擾による破壊 | 騒擾や集団行動等に伴う暴力行為による破壊(※戦争・紛争等による損害は除く)での損害 |
盗難 | 空き巣による被害等(ピッキングによる鍵の損壊や侵入時のガラス割れなども含む) |
さらに、上記でカバーしきれないリスクに+αで備えるものとして、保険会社各社が用意したオールリスクタイプがあります。
現在はこのタイプが主流であり、前述の内容に加えて、さらに幅広い補償内容が備えられています。
内容は各保険会社の作成するプランにより多種多様ですが、特徴的なものとしては、下記のような内容が挙げられます。
被災時の実損額での補償 | 災害等で受けた実際の損害額を補償。※従来の火災保険では再取得価額(建物の再築時に実際に必要であると見込まれる金額)を基に保険金額の設定をするため、再築・修繕費用が十分に補填出来ない・不足するというような状況に陥ることがある。 |
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修繕時の補償 | 住居の修繕期間の宿泊費用や、取り壊し、残存物の撤去にかかる費用等を補償 |
生活上のトラブル対策 | 水回りのトラブルや鍵の紛失による閉め出し等、生活で起こりうる困りごとに対応 |
一言で「火災保険」といっても、その内容は多岐に渡り、加入した保険(商品)の種類によっても大きく変わってくることがお分かりになるかと思います。
補償の対象〜何が補償される?
実際に災害による被害を受けてしまった場合、補償の対象物となるのは、建物と家財となります。
具体的には、下記の通りです。
建物 | ・建物本体 ・冷暖房等の付属設備 ・日用品 ・浴槽 ・ガス台 ・備え付けの棚 ・付属建物(門、塀、垣、物置、車庫等) |
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家財 | ・家具(テーブル、ソファー等) ・家電製品(パソコン、テレビ等) ・洋服 ・貴金属 ・自転車 ・その他日用品 ※家財を建物外に持ち出している際に盗難にあった場合などは、補償対象外となるケースあり。 |
補償対象は、建物のみ、家財のみ、建物・家財の両方の3種類があり、加入者によって選択することが可能となっています。
例えば、住まいが賃貸の場合と持ち家の場合とでは、居住者が個別に加入しておくべき保険(補償対象)も、変わってきます。
賃貸契約の場合、建物所有者が建物本体に保険を掛けていることがほとんどのため、居住者は家財のみを補償対象とした保険に加入すれば良いでしょう。
反対に持ち家の場合は、建物そのもの・家財すべてを個人で所有しているため、建物と家財両方にかけておく必要があります。
ちなみに、基本的な考えはこの通りですが、賃貸契約の場合だと、借家人賠償責任保険と個人賠償責任保険に同時に加入するケースがほとんどとなっています。
借家人賠償責任保険とは、借主の過失で貸主(大家さん)への賠償責任が発生した場合に備えるための保険です。
元々、賃貸物件とは貸主(大家さん)の持ち物です。例えば、借主の過失で壁の一部を壊してしまった、窓ガラスを割ってしまったなどと言った場合、大家さんの持ち物を壊してしまったことになるので、借主は賠償する責任が生じます。その際の補償をしてくれるのが、借家人賠償責任保険です。
それに対し、個人賠償責任保険とは、日常生活において、他人に怪我や損害を与えてしまった際に備える保険をいいます。
例えば、賃貸物件の屋根の一部が崩れ、通行中の他人に当たりケガをさせてしまい、賠償責任が生じた際に補償してくれる保険です。
しかし、すでに火災保険以外の保険に加入済みの場合、(自動車保険やその他損害保険など)、補償内容は重複しているケースもあります。保険料を余分に支払うことにも繋がりかねませんので、契約時に注意して確認しておきたいポイントといえます。
地震保険について
災害の中でも特に予測不可能である地震について、備えをしっかりとしておきたい思う方も少なくないでしょう。
特に、首都圏では「首都直下型地震」による甚大な被害が予想されており、その被害予想額は数兆円にものぼるといわれています。
現在、地震保険(地震補償付きの保険)の加入率は、持ち家世帯の場合5割程度となっていますが、先を見越せば、備えとして誰しもが加入を検討すべきと言えるでしょう。
そんな地震保険、注意しておきたいのは地震保険は単体では加入不可であるという点です。
「火災保険に加入し、そこに『地震補償』を追加する」というとイメージしやすいかと思います。
裏を返せば、地震保険の加入資格=火災保険に加入することであると言えます。
また、火災保険の補償範囲でも説明した通り、地震による火災は、火災保険では補償されません。
地震による火災で建物や家財に損害が出てしまっても、地震保険に加入していなければ、ただ損をしてしまうことにもなりかねません。
いつ・どこで・どれくらいの規模の地震が起こるかというのは予測不能でも、備えておくことは出来ます。
火災保険にプラスして、地震保険の加入も検討されることをお勧めします。
火災保険の加入率
適用されるシーンや補償内容について説明させて頂きましたが、実際のところ、世帯の加入状況はどのようになっているのでしょうか?
内閣府の調査によると、持ち家世帯の火災保険(民間保険・共済)加入率は約82%であることが分かっています。
水災補償を追加した保険への加入率は66%まで下がり、地震補償を追加した保険への加入率は49%まで落ちてしまいます。
火災補償 | +水災補償あり | +地震補償あり |
82% | 66% | 49% |
持ち家世帯の8割以上が、最低限の火災補償がなされる保険には加入している訳ですが、台風や集中豪雨による水災被害等、近年の自然災害の発生状況を鑑みると、この加入状況は充分なものとは言い難いと思われます。
しかし、お住まいの場所が水災リスクの低い地域であれば、手厚い水災補償をつけることはあまり必要とは言えません。反対に、リスクが高いにも関わらず、補償をつけていない場合は、いざという時に補償を受けられないことも考えられます。
加入率も参考にしつつ、さまざまな保険会社のプランや提案を比較して、自分に合ったものを選ぶのが良いでしょう。
火災保険 加入におけるポイント
火災保険についての解説を通して、生活していく中で起こりうる被災やあらゆるトラブルに対応するため備えておくべき・備えておきたい項目に関してお伝えさせて頂きましたが、実際のところ、住環境やライフスタイルは人それぞれです。
本当に必要なサービスを取捨選択する必要もあります。
例えば、以下のような選択のしかたが考えられます。
- 住宅の近くに河川がなく、特に地盤が緩い地域ではない→豪雨等による水害のリスクが低くなる分、その補償を小さくする
- 高価な楽器、洋服等、所有物を確実に守りたい→家財の補償を手厚くする
家の購入時や賃貸契約時に言われるがままに加入した、というようなケースも多々ありますが、実は、保険料の節約・補償内容の増減が可能になる場合もあるのです。
補償の内容を充分に把握された上で、現状や先を見越したプランへ見直しすることをお勧めします。
まとめ
- 2022年10月に各社の火災保険料が値上がりする見通し
- 火災保険は、火災だけでなくさまざまな災害による損害の補償もしてくれる
- 地震保険は、火災保険とセットでしか加入できない
- 自身の状況に合わせて火災保険のプランを選択することが重要
保険料値上げのニュースで今、改めて注目されている火災保険。
コストはかかりますが、暮らしの安心には必要不可欠であることがお分かり頂けたかと思います。
このタイミングで保険の特徴やポイントを押さえていただき、皆さまそれぞれのライフスタイルに沿った形で災害・トラブルに備えて頂くことをお勧めします。
ご自身に合った保険を選ぶことで、保険料が値上がりしても家計への影響が少なく済むこともあります。
現在ご加入中の保険が、ご自身に合っているかどうか、見直しを検討してみるのはいかがでしょう?
グピカライフパートナーでは、住環境や生活についてのヒアリングを行ったうえで、お一人お一人にフィットした保険のご提案をさせて頂いております。
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