<コラム>FPはこう見る【住宅ローンの “借換” そのメリット・デメリット】
住宅ローンの利用において、最も重視されるポイントの一つがその金利。
近年、各金融機関は「低金利」を掲げる傾向が続いています。
ゆえに、今利用している金融機関より、さらに金利の低い金融機関への「借換」を検討される方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、FP(ファイナンシャルプランナー)目線での
住宅ローン借換についてのアドバイスをさせて頂ければと思います。
1.そもそも、借換とは?
借換とは、返済の負担を減らしたり、金利を安定させたりすることを目的として
現在借り入れしている金融機関から、他の機関に借り入れをすることを指します。
「総支払額の減額・返済額の軽減」がされるかどうかをシミュレーションし、
確実に負担減となることを確認してから行うことが重要であると言えます。
【POINT1】 借換にかかる費用を事前にチェック
借換をするには、諸費用が発生します。この費用によっては総支払額として見たときに
結果的には減額とならない可能性も。確認しておくことが大切です。
以下、借換にかかる費用について概算してみましょう。
《借換時の諸費用》 ※3000万円/35年ローンとした場合
・抵当権の変更費用
住宅ローン借り入れの際に必要なのが、抵当権の設定です。
借入先の変更に伴い、再設定が必要となり、費用が発生します。
①これまでの借入先に対する抹消費用 …1~2万円程度
②再設定時の登録免許税の支払(借入額×0.4%)…12万円程度
③司法書士に手続き依頼する際の報酬の支払 …5~6万円程度
…計:20万円前後
・ローン手数料
定額〇万円/定率〇.〇% 等、金融機関によって異なりますが、手数料が発生します。
支払い方法は定額型/定率型と2パターンあります。
定額型の場合…3万円前後+保証料*の支払い
定率型の場合…1.5~2.2% が相場とされる。保証料の支払いは、基本的には不要となる。
借入額3000万円×2%とすると、手数料は60万円(A)
・保証料
ローン手数料の支払いを定額型で行った場合、別途「保証料」を支払う
必要があります。その支払い方法についても、2パターンあります。
内枠方式…毎月のローン返済額に上乗せする形で支払う。
近年は借入額に0.2%上乗せするケースが多い。
外枠方式…保証料を契約時に一括で支払う。
借入額の2%程度とされる。
→手数料を定額型で、+保証料を外枠方式で支払った場合
手数料3万円+保証料(借入額3000万円×2%=)60万円=63万円(B)
…ローン手数料+保証料 計:60万円前後 ※A・Bパターンあり
・印紙代
契約書に貼付する印紙の費用もかかります。
借入額1000万円超5000万円以下…2万円
借入額5000万円超1億円以下 …6万円
これらの費用を合計すると、およそ82万円。
決して少なくない額の費用が発生することが分かります。
【POINT2】 変更先の金融機関の審査に通るか?
借換にあたって、変更先の金融機関では、通常の項目の審査に加え
「過去の返済履歴の確認」が厳しく行われます。
返済時に遅延・延滞があった場合には、否決となる可能性が高いのです。
「うっかりして支払いが数日遅れてしまった…」というようなこともあるかもしれません。
しかし、このように故意でない場合にも「遅延」と見做され、
借換先として受け入れてもらえないケースもあるのです。
これまでの返済履歴を顧みて
「そもそも、大丈夫かどうか」事前に確認しておく必要があります。
2.借換を検討する時、大切なこととは
借換を検討する際のポイントは、
借換時に必要な費用について把握し、これまでの支払状況を踏まえた上で
「総支払額が安くなる・返済額が軽減される」かどうか、ということに尽きます。
具体的な目安を挙げるとすると、
「借入残高が1000万円以上・残り返済期間が10年以上・金利差が1%以上」。
これらすべてに該当すれば、有利な借換になる可能性が高いと言えます。
しかし、よく調べずに、目先の返済額を減らしたい・返済が厳しい状況から脱したい一心から「借換」という方法を取ってしまうと、かえってデメリットを被ってしまう可能性も…。
それでは、現状のローン返済について悩みや疑問を抱いた際には、
まずどのような行動を取ったら良いのでしょうか?
それは…
現在、借入をしている金融機関に相談をすること。
①金利引き下げ」の相談をしてみる
…「単純に、金利が高いこと」を懸念しているのであれば、現在の借入先に
金利引き下げの相談をしてみてはいかがでしょうか。
借入先の金融機関側としても、突然に他機関に借換されてしまうことは避けたいものです。
事前の相談を受け、「他機関と比べて金利の水準が高い」と判断すれば、
柔軟な対応をしてくれる可能性があります。
その際には、他機関で借換を行った場合の「借換シミュレーション試算表」を用意しておくことで、より説得力が増すでしょう。
②「返済額の軽減は可能か」相談してみる
…毎月の返済が困難である場合、そのことを相談してみましょう。
延滞を避け、無理なく確実に返済をしてもらう方が、金融機関側にとっても好都合です。
「夢のマイホーム」を手に入れるために手伝ってくれた金融機関。
ここまで信頼関係を築いてきたからこそ、今後も末永いお付き合いを…、
という考え方も出来るのではないでしょうか。
3.おわりに
借換にはメリット・デメリットそれぞれありますが、適切に行えば、
ローン返済の負担が軽くなる可能性もあります。
しかし、様々な観点から現状を慎重に見きわめなければなりません。
ご自分での判断が難しいことも、多々あると思います。
そのような時は、金融機関はもちろんのこと、プロに相談することをお勧めします。
Gpicaグループには、不動産・保険・相続それぞれのプロが在席し、
お金にまつわる、あらゆるお悩みやご相談事にも対応させて頂いております。
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