2022年10月火災保険の大幅値上げついに施行!変更点を解説!
2022年10月、ついに火災保険料の改訂が行われ、大幅に値上げされたことが話題となっています。
今回はなぜ今、火災保険料の改訂がなされたのか、
また、改訂が行われたポイントを実際の改定率などと合わせて解説します。
1.火災保険の大幅値上げの理由と地域別改定率
2022年10月、火災保険料が改定となりました。
料率が上がる理由としては、
近年日本では台風や豪雨による大規模な災害が頻発し、火災保険の収支のバランスが悪くなり、
損害保険業界全体で火災保険の仕組み自体が危ぶまれる事態になっていることによります。
これを反映した形で、値上げは直近4年間で3度目となり、値上げ幅は過去最大となりました。
ここで、参考純率を見ていきましょう。
火災保険料は保険会社やプラン、地域や築年数、建物の構造によって異なります。
築年数及び建物構造別に、三大都市圏+改定率が最大及び最小となった地域の改定率を表にまとめました。(表)
改定率の最大は+36.6%(沖縄県・H構造・築10年以上)、最小は▲13.8%(山口県・H構造・築5年未満)となっています。
ただ、火災保険の契約者が負担する保険料は、参考純率の上昇幅通りに値上げされるわけではありませんが、
値上げ率の高い地域は、過去に自然災害による被害が大きかったことが要因と考えられ、
参考純率が引き上がった都道府県は保険料も値上がりする傾向があります。
実際の新保険料は保険会社、居住する都道府県や建物構造、築年数によって大きく差が出ます。
中でも、保険料を大きく左右する要素のひとつとして、築年数があります。
例えば、築年数が浅い場合、プランによっては40%を超える値下げになる場合もあります。
一方で、築年数が古い場合、プランによっては50%を超える値上げになる場合もありますので、
ご自身のプランでどうなるのかは、個別見積もりを取って確認することが必要になります。
ここで火災保険の保険料が決まる仕組みを確認しておきましょう。(図1)
上記のように、火災保険料は損害保険会社が参考純率を目安として、事業費などを加味して独自に決定しています。
2.契約期間が最長5年に短縮
最長10年間の契約が可能でしたが、10月からは最長5年間へと短縮されることになりました。
これは、近年の突発的な自然災害の増加に伴い、災害が発生する確率を予測することが困難になっており、
損保各社が長期的なリスクを抱えることができなくなったことが原因と考えられます。
実は2015年までは、火災保険は最大35年間の契約ができました。
過去に35年の契約を結んだ人は、その間は保険料が変わることはありません。
自然災害の頻発により損保各社が長期的なリスクへの対応が難しくなり、
2015年10月から「最長10年契約」に短縮され、それからわずか6年しかたっていないというのに、
長期契約期間は10年から5年へとさらに短縮されることになりました。
長期契約が可能な火災保険のほとんどが、
2年以上の長期契約で保険料を一括払いすると、期間に応じて保険料を割引してもらえます。
長期契約による割引は年数ごとに長期係数という割引係数が設定されており、年間保険料×長期係数で算出されるのが一般的です。
例えば、1年契約を10回更新した場合(その間値上げがない前提)と、10年契約の一括払いとでは、
後者の方が保険料は17%も割安になります。
契約期間が短くなると割引率も悪くなり、現在5年長期割引の割引率は約13%なので、
10年の長期契約をしている場合と比較すると、およそ4%も下がることになります。
3.家財保険の自己負担額の引き上げ
同じタイミングで、一部の保険会社では、
日常生活における家具や家電などの損害を補償する「家財補償」についても自己負担金額の最低額が引き上げられています。(図2)
特に対象となっているのは、「破損・汚損」「(給排水管の故障による)水漏れ」「盗難」「暴力・騒擾(そうじょう)」等になります。
(騒擾とは?:集団によって起こされた騒ぎや秩序の乱れを指し、このような騒擾の巻き添えで損害を被ること)
※自己負担額(免責金額)とは その金額までは保険が適用されない(つまり、自己負担する)という金額のこと。 自己負担金額5万円の場合、5万円以下の少額補償は支払われない 5万円を超える補償を受けられた場合も、5万円分の自己負担額を除いた保険金しか支払われない。
例)高額な家具を破損し、12万円の修理が必要になった。 支払い保険金:12万円-5万円(自己負担額)=7万円 |
改定前は多くの場合、家財保険の自己負担額を契約時に選ぶことができ、
0円(なし)とすることも補償内容によっては可能でした。
ところが今回の改定で一部保険会社は、日常生活で誤って壊してしまった場合の自己負担の最低金額を一律5万円に引き上げました。
つまり、5万円以下の損害は補償の対象外となるということです。
近年、働き方の多様化や情勢の影響を受けて在宅勤務や自宅時間の機会が増加しています。
家にいる時間を重視する傾向に伴い家財の高性能化も進んでいることから修繕費も上昇しており、
少額の請求件数も増加していることから保険会社の支払い時の事務作業負担も増えてきていることが背景にあると考えられます。
家財補償は、火災や台風、浸水などの自然災害による損害時や泥棒に盗まれたり、
うっかり落として壊してしまったりした際の損害まで幅広く補償しています。
今回、自己負担の最低金額が5万円に引き上げられるのは、誤って家具やテレビを壊してしまったり、給水管の破裂で家具が水浸しになるなどの
「日常生活で生じた不測の損害」の補償に限るとされていますので、
「日常生活で生じた不測の損害」以外の火事や台風による被害の場合の自己負担最低金額は据え置かれると考えてよいでしょう。
4.保険金の支払い要件の変更
これまでは、どのような目的で保険金を使用するかについては不問とされてきました。
しかし、今後は保険加入者が自己負担で修繕した後に、修繕をしたことを証明する修繕前・修繕後の写真、領収書が必要になります。
保険会社やプランによっては、該当の建物の修繕が完了した時に保険金がおりる仕組みに変更されます。
近年、台風などの自然災害の発生後に火災保険の不正申請が横行しており、保険業界では大きな問題となっています。
保険金請求が必要のないケースでも、高額な請求を行う悪徳なリフォーム会社などが現れ、
その中には代行手数料を上乗せして保険金請求をするなどの問題行為もありました。
そのため、建物や家財を復旧させた時に保険金が支払われる運用に変更されることになったのです。
今回の改定により、多くのプランは値上げになると予想されますが、
居住する都道府県や建物構造、築年数、保険会社のプランによっては値下げになる場合もあります。
このタイミングで改めて保険の特徴やポイントをおさえていただき見直しを検討してみるのはいかがでしょうか。
皆さまのライフスタイルに沿った形で災害・トラブルに備えておくことをお勧めします。
グピカライフパートナーでは、お客様の住環境や生活スタイルについてヒアリングを行った上で、それぞれにフィットした保険のご提案をさせて頂いております。
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